ボーリング調査って何をするの? 地盤調査の目的や種類、わかることを紹介

皆さんこんにちは。

埼玉県八潮市を中心に、関東一円や東北地方で地盤調査・地盤改良・確認試験を手掛けている土筆工業です。


建物を建てる時には、予定地の地盤の状態を調べる必要があります。そのための方法の中でも、代表的なものの1つが「ボーリング調査」です。これは言葉としては知っているものの、具体的に何をするのかはご存じない方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、ボーリング調査の目的や調査からわかることについて解説します。




■なぜ地盤調査をする必要があるの?



最初に、そもそもなぜ地盤調査が必要なのかを知っておきましょう。建物を建てる際の地盤調査は、その地盤が十分な強度を備えているかどうかを確認するために行います。なぜなら、軟弱な地盤の上に建物を建てると、地盤が重さに耐えられず建物が傾いたり、沈み込んだりしてしまう可能性があるからです。


傾いた家の中では、当然ながら生活が難しくなります。何しろ、あらゆるものが傾いてしまうので、家具などを安定して設置することができません。加えて、たとえわずかな傾きであっても、居住する人の平衡感覚に悪影響をもたらします。その結果、めまいや頭痛、肩こりといった健康被害が生じるのです。


また、傾きや地盤沈下は建物自体にもダメージを与えます。よくあるのは、壁に亀裂が入ったり、ドアや窓が歪んで開かなくなったりといった被害です。下水道管の勾配が不足したり逆勾配になったりすることで、下水の排水が悪くなるケースもあります。これではキッチンやトイレすらも快適に使えません。


そして最悪の場合は、大規模な地盤沈下や基礎部分へのダメージによって、建物が倒壊してしまうこともあります。こうなると、生活の場であり大切な財産でもある家を失うことになり、中にいる人が危険にさらされる場合もあるでしょう。このような事態を防ぐためにも、建物を建てる際には地盤調査を行う必要があります。その方法の1つがボーリング調査なのです。




■地盤調査の種類



一口に地盤調査といっても、その方法は何種類もあり、それぞれ特徴が異なります。主な地盤調査の方法と特徴を見ていきましょう。



・ボーリング調査



ボーリングロッド(鉄の筒)で地面に孔を開けて行う調査方法です。詳しくは次の項目で解説します。



・SWS試験(スクリューウエイト貫入試験)



スクリューポイントを取り付けたロッド(鉄の棒)を地盤に貫入させ、それに要した荷重と回転数から、地盤の抵抗値を測定する方法です。比較的簡単に実施でき、深度方向に連続してデータが取れるのがメリットですが、礫やガラが多い地盤には向いていません。また、調査深度は10m程度が限界です。



・平板載荷試験



基礎に見立てた直径30cmの鋼板に、実際の建物を想定した荷重を段階的にかけ、地盤の沈下量を測定する方法です。地盤の支持力を直接判定できるのが大きなメリットである反面、作業スペースが大きく深度方向の調査も困難で、費用が高額になりがちといったデメリットがあります。



・オートマチック・ラム・サウンディング試験



先端にコーンを取り付けたロッドを、ハンマー(重り)の落下・打撃によって地中に打ち込み、規定の深さに到達するのにかかった打撃回数を測定する方法です。調査器による自動化が図られているため、ボーリング調査に比べて簡便で、深度方向に連続してデータを取ることができます。ただし、高低差の大きい現場での作業は困難です。なお、人力でコーンを打ち込む「ポータブルコーン貫入試験」という方法もあります。



・レイリー波探査



起振器と受信機によって、個体の表面に沿って伝わるレイリー波(地震波の一種)の速度を測定し、地盤構成や地盤の強度・特性を調べる方法です。非破壊試験のため地盤に影響を与えず、スペースも取りません。一方、表層に厚い軟弱層があると大きな起振器が必要で、地中の障害物による反射波の影響も考慮しなければならず、単独では土質の判定が行えないといったデメリットもあります。




■ボーリング調査とは?



ボーリング調査は、地面にボーリングロッド(鉄の筒)を打ち込んで行う地盤調査です。筒を打ち込むことで土を採取して地質を調べたり、筒の入り具合によって地盤の強さを調べたりします。これらの情報から、そこが建物を建てるのに適した地盤なのかを調べられるのです。ちなみに、ボーリングという名称は英語の「boring(穴を開けること)」から来ており、玉を転がすボウリング(bowling)とはまったく関係ありません。


ボーリング調査自体にもいくつかの種類があり、最も一般的なのは「標準貫入試験」という方法です。手順としては、やぐらを組んで滑車・ロープ・ハンマー(重り)・ボーリングマシンなどを設置します。そしてロープを巻き上げハンマーを自由落下させると、ハンマーの打撃によってボーリングロッドが少しずつ地面に貫入します。


これを何十回も繰り返すことで、地盤の強度を調べられるのです。同時に、ロッドの先端のサンプラー(土を採取する器具)で土を採取することで、土質も調査できます。使用するハンマーの重さや落下させる高さなどは細かく定められており、遵守しなければなりません。


ボーリング調査のメリットは、同じくメジャーな方法であるSWS試験に比べ、より硬い地盤の調査や深度10m以上の調査が可能なことです。また、土のサンプル採取による土質の確認もできます。一方、作業スペースが大きいことや(4m×5m程度)、調査データが得られるまで数日かかってしまうこと、費用が高額になりやすいことなどがデメリットです。




■ボーリング調査からわかること



ボーリング調査でわかることは、簡潔にいえば「地盤の強さ」です。では、具体的にどういったデータを集めているのでしょうか? ボーリング調査で得られる情報を見ていきましょう。



・N値



ハンマーでボーリングロッドに打撃を加え、規定の深さまで掘削するのにかかった打撃回数を「N値」といいます。N値が大きいほど、頑丈な地盤というわけです。貫入させる深さは、「予備打ち」として15cm打ち込んだ位置から30cm、打撃の回数は最大50回です。



・土の密度



単位体積あたりの土の重量を、土の密度といいます。要するに、土の緻密さや締まり具合のことです。密度が高いほど、しっかり締まった頑丈な地盤だといえます。



・地盤の種類



地盤には、火成岩・堆積岩・変成岩などで形成された「岩盤」、約250万年前~2万年前に形成された硬質な「洪積層(こうせきそう)」、約2万年前~現在までに形成された「沖積層(ちゅうせきそう)」、そして人工地盤といった種類があります。岩盤や洪積層は基本的に頑丈ですが、沖積層は土質によっては軟弱です。また、人工地盤も自然の地盤に比べて軟弱な傾向にあります。



・地盤の液状化の度合い



地震などで地下水位が上昇すると、普段は頑丈な地盤であっても液状化し、軟弱になってしまう場合があります。ボーリング調査は、地下水位や液状化の度合いも調べることが可能です。



・地盤の弾性係数



弾性係数(変形係数)とは、地盤の固さを表す数値の1つです。簡単に言うと地盤のバネのことで、主に杭の設計の際に利用します。



地盤の性質を知ることは、建物を建てる上で最も重要です。たとえば、硬い地層(支持層)がどれくらいの深さにあるのかを確認すると、構造物を支える基礎の形式をどのようにすればいいかを判断できます。


さらに、地表面からすぐのところに硬い地層が確認できれば、直接基礎で構造物を支える比較的安価な工法を選ぶことも可能です。安全な建物を建てるためにも、信頼できる専門業者に地盤調査を依頼し、地盤の状態を詳しく調べましょう。


土筆工業は創業以来、軟弱地盤の改良、強化や地盤沈下の防止、液状化対策、免震対策といった工事技術の開発に注力し、業界をリードしてきました。現在はそうした実績が高く評価され、大手ハウスメーカーの指定工事店として安定した成長を継続しています。地盤調査・地盤改良を通じて住まいを守り、人々の生活を文字通り地盤から支えているのが土筆工業なのです。


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