地盤調査で調べる地層って何? でき方や種類、調査の重要性を紹介

皆さんこんにちは。

埼玉県八潮市を中心に、関東一円や東北地方で地盤調査・地盤改良・確認試験を手掛けている土筆工業です。


建物を建てる時は、その土地が建物の重さに耐えられるかどうかを確認するため、地盤調査を行う必要があります。地盤調査ではいろいろなデータを測定しますが、最も重要な情報の1つが、地盤を構成する「地層」の情報です。どのような地層で構成されているのかによって、その地盤の強度は大きく変わってきます。ここでは、地盤調査をする前に知っておきたい地層の基礎知識をご紹介します。




■そもそも地層って何?


 

地層とは、岩・小石・砂・粘土・火山灰・動植物の死骸などが層状に堆積したものです。普段は目に見えませんが、どのような地面の下にも地層はあります。崖や谷、海岸といった地面の断面が見える場所では、地層を観察することが可能です。まるでケーキの断面のように、きれいな縞模様ができている様子を観察できるでしょう。


地層を構成する物質は、地域や堆積した時の環境によって異なります。世界各地にさまざまな地層が存在しますが、基本的には下の層=先に堆積した層ほど年代が古く、化石や貴重な鉱物が混ざっていることもあります。工事現場から化石が出てくる事例も多く、ニュースになることも珍しくありません。


ただし、地層は基本的に地上ではなく、海や湖などの水底で形成されます。地表にある岩石や土は、風雨や川の流れによって少しずつ削り取られ、海や湖に流れ込みます。そして、長い年月の間にさまざまな種類の土砂が流れ込み、体積を繰り返すことで地層が形成されるのです。


では、なぜいろいろな物質が順番に堆積して、きれいな層状になるのでしょうか? それは流されてきた土砂のうち、大きくて重い物質から先に沈み、小さくて軽い物質は沖の方まで流されていくからです。これは場所によって地層を構成する物質が異なる一因にもなっています。




■地層の分類①:年代による区分



多種多様な地層を分類する方法はいくつかあります。1つは、堆積した年代による区分です。大きく分けると、「沖積層」と「洪積層」の2種類があり、地層の分布から地球の歴史がわかります。それぞれの特徴を見ていきましょう。



・沖積層



沖積層は、約1.8万年前~2万年前の「ウルム氷期最盛期」という時代の後にできた地層です。地質学的には最も新しい地層で、地表部分は完全に固まっておらず、水分を多く含んでいます。そのため、地盤沈下や地震の際の液状化現象が起こることがあり、そのままでは建物を建てるのに適しません。地盤改良による対策が必要です。



・洪積層



洪積層は、ウルム氷期最盛期よりも前にできた古い地層です。洪積層の地盤はよく締まっていて硬いので、建物を建てるのに適しています。ちなみに、粘土状の赤土で構成されていることで有名な「関東ローム層」も洪積層です。




■地層の分類②:成分による区分



地層を分類する2つ目の方法は、地層の成分(地質)による区分です。地層の成分は実にさまざまで、それぞれ強度も異なるため、建物を建てる場合にはしっかりと調査しなければなりません。主な地層の種類と特徴をご紹介します。



・表土



表土は文字通り、地表面にある最上部の地層です。砂や粘土、分解された落ち葉などで形成されており、もともとあった地層が風化したものや耕作土(田んぼや畑の表面)も含みます。薄く柔らかいため、建物の支持地盤としては使えません。なお、盛土や埋土といった造成地の地盤も表土として扱う場合があります。



・粘土層



粘土層は、粒子が細かい粘土でできた地層です。特に沖積層の粘土層は水を多く含み、水が抜けるとゆっくり収縮する性質があります。この現象を圧密といい、圧密によって地盤が下がることを圧密沈下といいます。建物を建てるのには適しておらず、建てる場合は地盤改良による対応が必要です。



・シルト層



シルト層は、構成している土の粒子の大きさが、砂と粘土の中間に位置する地層です。性質は粘土層に近く、やはり圧密沈下が起きる場合があります。



・砂層



砂層は目視で観察できるサイズの、シルトより大きな粒子で形成された地層です。水はけがよく、粘土層やシルト層とは異なり、水が抜けた時の土の変形はすぐに起きます。そのため、砂層の地盤では圧密沈下はほとんど発生しません。


一方、大きな地震が起きた時は、液状化現象が発生する可能性があります。特に地下水位が高く、砂が緩く堆積している地盤では注意が必要です。



・砂礫層(されきそう)



砂礫層は、砂と小石が混合した土で構成されている地層です。比較的地盤が強固で、建物を建てるのに適しています。



・岩盤



岩盤は山地や崖でよく見られる、非常に硬い岩などで形成された地層です。砂や粘土が長い年月を経て固まったり、火山から流れ出た溶岩が冷えて固まったり、地下にある溶岩がそのまま固まったりして作られます。とても強固なので、杭を打つ時などの支持地盤として使われます。




■建物を建てる際の地盤調査の重要性と調査方法



ここまで見てきたような地層の情報は、地盤調査の際に必ず調べます。その他にも、具体的な地盤の強度を数値化して測定しなければなりません。では、なぜ建物を建てる時に地盤調査をする必要があるのでしょうか? 地盤調査の重要性と、主な調査方法を確認しておきましょう。



・地盤調査の重要性



地盤調査の主な目的は、その土地の地耐力=建物の重さや地盤沈下に耐える力を調べることです。地耐力が低い地盤はいわゆる「軟弱地盤」で、そのまま建物を建てると重さに耐えられず地盤沈下が起きたり、建物が傾いたりします。また、一見固く締まっているようでも、構成する物質によっては地震などの際に液状化することもあります(砂層など)。


こういったトラブルを防ぐために行うのが地盤調査です。地盤の強度や地質をしっかりと調べておけば、建物を建てても大丈夫な地盤かどうかを確認できます。もし地耐力が不足していたとしても、地盤改良をすれば強度を高められる可能性があります。地盤改良の必要性や方法、規模などを確かめる意味でも、地盤調査が必要なのです。



・地盤の調査方法



地盤調査にはいくつかの方法があります。最もよく使われているのはSWS試験(スウェーデン式サウンディング試験)で、ロッド(鉄の棒)にハンマーで打撃を加え、少しずつ地面に貫入させることで地盤の強度を測定する方法です。費用が比較的安価で狭小地や傾斜地でも調査ができますが、ロッドが貫入しないほど硬い地盤や深さ10m以上の場所には使えません。


SWS試験の詳しい情報はこちらへ

https://www.tukushikougyo29.jp/blog/blog/149692


また、ボーリング調査という方法もあります。こちらはやぐらを組み、機械を使って地面に孔を空け、強度を調べたり土を採取したりする方法です。硬い地盤や深さ10m以上でも調査ができ、土質も調べられるのがメリットですが、調査には数日かかり費用も高くなります。


ボーリング調査の詳しい情報はこちらへ

https://www.tukushikougyo29.jp/blog/blog/144991




■社会を地盤から支える仕事がしたい方は、土筆工業へ!



地盤・地層の強度や性質は、場所によって大きく異なります。地球の長い歴史の中で形成された地層は本当に多種多様で、少し離れただけでまったく別の地質・構造になっていることも少なくありません。


地盤沈下や液状化のリスクを避け、安全な建物を建てるためにも、地盤調査は必ず実施しなければならないのです。つまり地盤調査をする仕事は、社会に必要不可欠な仕事だといえます。興味のある方は、地盤調査業界で働いてみませんか?


土筆工業は創業以来、軟弱地盤の改良、強化や地盤沈下の防止、液状化対策、免震対策といった工事技術の開発に注力し、業界をリードしてきました。現在はそうした実績が高く評価され、大手ハウスメーカーの指定工事店として安定した成長を継続しています。地盤調査・地盤改良を通じて住まいを守り、人々の生活を文字通り地盤から支えているのが土筆工業なのです。


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