杭打ち工事って何のために行うの? 地盤調査の関係性や工事の流れを解説

皆さんこんにちは。

埼玉県八潮市を中心に、関東一円や東北地方で地盤調査・地盤改良・確認試験を手掛けている土筆工業です。


皆さんは住宅の建設現場などで、「杭打ち機」を使って地面に杭を打ち込んでいるのを見たことはないでしょうか? これは「杭打ち工事」といい、地盤改良・基礎工事の一種です。杭打ち工事を行うことで、軟弱地盤の上にも家を建てられるようになるため、多くの現場で用いられています。ここでは、杭打ち工事の内容や杭・工法の種類、工事の基本的な手順について解説します。




■杭打ち工事って何のために行うの?



杭打ち工事は正式には「基礎杭打ち工事」といい、建物を建てる際に地盤を補強する基礎工事の一種です。主に軟弱地盤(柔らかい地盤)の上に建物を建てる際に行われ、地下の硬い地盤にまで杭を打ち込んで基礎を作り、建物を安定して建築できるようにします。


建物の基礎工事には、杭打ち工事の他に「直接基礎工事」があります。直接基礎工事はその名の通り、ある程度上層の地面に直接基礎を作る工法です。ベタ基礎・フーチング基礎・布基礎・独立基礎といった種類がありますが、杭打ち工事のように杭を打ち込む作業がない分、比較的安価に基礎工事ができます。


しかし、直接基礎工事は頑丈な地盤でしか行うことができません。もし軟弱地盤で直接基礎工事を行えば、いずれ建物が傾いたり沈み込んだりするおそれがあり、地震などで倒壊してしまう可能性も否定できません。そのような事態を防ぐため、軟弱地盤の上に建物を建てる時は杭打ち工事を選択し、建物をしっかりと支える必要があるのです。


なお、杭を打ち込むのに使われる重機が「杭打ち機」です。大きく分けると、ハンマーの落下などによって杭を打ち込む「打撃系」、油圧によって杭を地中に押し込む「圧入系」、先端のスクリューなどを用いて地盤を掘削する「掘削系」といった種類があります。いずれもメリットとデメリットがあるため、状況に応じて使い分けられます。




■杭打ち工事に使われる杭や工法の種類



杭打ち工事に使われる杭や工法にはいくつかの種類があり、地盤の状態や工事の都合に合わせて使い分ける必要があります。主な杭や工法の種類を見ていきましょう。



◯杭の種類


杭打ち工事に使われる杭には、木杭・鋼杭・コンクリート杭といった種類があります。それぞれの特徴は以下の通りです。


・木杭

木材でできた杭で、杭の中では最も長い歴史があります。「木材は腐食しやすいから基礎に使うのは危険なのでは?」と思うかもしれませんが、適切な木材を適切な場所に使えば、簡単に腐食してしまうことはありません。また、防腐処理を施してから使用する場合もあります。


・鋼杭(鋼管杭)

鋼製の杭です。イメージ通り耐久性が高く、鉛直方向や水平方向への耐力に優れています。また、貫入性能も高く、溶接によって継ぎ足すことも可能といったメリットの多さから、現在では幅広く用いられています。よく使われるのは、高層ビルなどの重量のある建物や、地滑りのリスクがある地盤などです。なお、施工後は鋼管の中にコンクリートを注入します。


・コンクリート杭

コンクリート製の杭です。主にやわらかい地盤での杭打ち工事で用いられます。杭の中に鉄筋があるものを「鉄筋コンクリート杭」、ないものを「無筋コンクリート杭」と呼びます。基本的には鉄筋コンクリート杭の方が頑丈ですが、軟弱地盤が浅く施工範囲が狭ければ、無筋コンクリート杭でも十分通用します。



◯杭打ちの工法の種類


杭打ち工事に用いられる工法の種類は、大きく分けて「既成杭工法」と「場所打ち杭工法」の2種類があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。


・既成杭工法

「既成」という名称の通り、あらかじめ作られた杭を打ち込む工法です。杭を打ち込む方法によって、さらに「埋め込み工法」「打ち込み工法」「鋼管回転圧入工法」といった工法に分けられます。


埋め込み工法は、杭を埋め込むのに必要な分だけ、先に地面を掘削してから杭を入れる工法です。打ち込み工法は、杭をハンマーなどの打撃によって打ち込みます。そして鋼管回転圧入工法は、鋼管の先端に羽をつけ、回転させることで地面に貫入させます。


・場所打ち杭工法

地面を掘ってコンクリートを流し込み、杭とする工法です。大きく分けると、地面を機械で掘削する工法と人力で掘削する工法があり、アースドリル工法・オールケーシング工法・リバースサーキュレーションドリル工法といった種類に分けられます。


また、地盤をさらに補強するため、砕石を転圧し地盤を固めることもあります。どれが適切なのかは状況次第なので、施工業者と十分に打ち合わせをすることが大切です。




■杭打ち工事の流れ



基礎は建物を支える重要な部分なので、杭打ち工事は正しい手順で行い、十分な強度と安定性を持たせる必要があります。そこで、回転圧入鋼管杭工法を例に取り、杭打ち工事の基本的な流れを確認しておきましょう。



①試験杭の位置確認


まずは試験杭(最初に打ち込む杭)の位置確認を行います。設計図やボーリング調査のデータと照らし合わせ、設計深度や杭頭高さを綿密に確認しながら、ボーリング調査の地点に最も近いところで行うことが大切です。杭の貫入開始~深度到達までに得られた値は管理装置で計測し、本杭の打ち止め位置を決定します。



②杭打ち機の設置


杭打ち機を移動・設置します。誘導員の指示のもと、周囲に干渉物はないか、重機を置く場所は安定しているかといったことを入念に確認しながら行います。作業範囲内への立ち入り禁止措置など、万全の安全対策も必要です。



③杭の位置決め


杭を予定の位置へ確実に打ち込めるよう、位置決めを行います。誘導員の指示のもとに、誤差が生じないよう逃げ杭を打ち、水準器などで鉛直を確認しながら杭を着地させ、振れ止めで確実に固定します。



④貫入


鉛直確認を行いながら杭を打ち込みます。1回転あたりの深さを確認し、管理装置による計測値やボーリングデータなどと照合しながら、ゆっくりと貫入させていきます。



⑤上杭の位置決め・溶接


杭をつなぐ場合は、鉛直の管理や接続部の状態確認を十分に行いながら溶接します。結合が終わったら、再びゆっくりと貫入させます。



⑥設計深度付近での確認


設計深度付近まで杭が到達すると、硬い地盤に触れることで負荷力が変化します。その影響によって杭がねじれたり曲がったりしていないかどうかを慎重に確認しながら、設計深度まで杭を貫入させます。



⑦貫入打ち止め


管理装置による計測値やボーリングデータとの確認・照合を行い、合致したら設計深度に到達したと判断し、貫入を止めます。


これはあくまでも基本的なやり方なので、現場の状態によっては手順が変わる場合もあります。また、他の工法を選択すれば、当然ながら手順が変わります。


しかし、どのようなケースでも最も重要なのは、入念に数値を確認しながら正確に杭を打ち込むことです。杭打ち工事は、決して力任せに杭を打ち込むだけの作業ではありません。繊細さを備えた方や、綿密な数値の管理が好きな方であれば、杭打ち工事の現場で大いに活躍できるでしょう。




■まとめ


軟弱な地盤の上にそのまま家を建てると、時間が経つにつれて家が傾いたり沈み込んだりするおそれがあります。杭打ち工事はそれを防ぎ、安全に暮らせる家を作るための重要な工事です。特に地震の多い日本においては社会貢献性が高く、常に需要がある仕事なので安定して働くこともできます。興味のある方は、地盤改良工事の仕事に携わってみませんか?


土筆工業は創業以来、軟弱地盤の改良、強化や地盤沈下の防止、液状化対策、免震対策といった工事技術の開発に注力し、業界をリードしてきました。現在はそうした実績が高く評価され、大手ハウスメーカーの指定工事店として安定した成長を継続しています。地盤調査・地盤改良を通じて住まいを守り、人々の生活を文字通り地盤から支えているのが土筆工業なのです。


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